1 概要
平成19(2007)年11月に策定した「耐震化整備計画」に基づき、既存の基幹施設である牛頸浄水場を優先して平成19年度から耐震化事業に着手し、25年度に耐震補強工事を完了しました。福岡市との共同施設である多々良浄水場は、令和2年度に工事を完了しました。送水ポンプ場については、耐震補強が必要な3施設について、平成21年度に工事を完了しました。
管路施設については、送水管を対象として、特に緊急を要する志免地区の老朽管更新事業や警固断層付近の耐震化に着手し、老朽管更新事業については、平成23年度に着手し、平成26年度に完了しました。警固断層付近の耐震化については、平成23年度に着手し、牛頸浄水場から大野城市役所付近までの区間を令和3年度に完了し、令和4年度に供用開始しました。その他の区間は平成26年2月に策定した管路整備計画に基づき順次整備しています。
2 浄水施設の耐震化
(1)牛頸浄水場耐震化事業
ア 概要
平成19年11月に策定した「福岡地区水道企業団耐震化整備計画」に基づき牛頸浄水場の各施設(8施設)について、耐震診断で耐震不足と判明した施設の耐震補強工事を行いました。
【耐震化整備計画(牛頸浄水場関係)】
工 期 |
平成19年度~平成27年度 |
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総事業費 |
約32億円 |
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国庫補助事業 |
補助率1/3 (ライフライン機能強化事業) |
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対象施設 12施設
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建築施設 2施設 |
管理本館、 |
土木施設 |
着水井、1系浄水池、2系浄水池、1系急速ろ過池・沈殿池、2系急速ろ過池・沈殿池、濃縮槽、排泥池、スラッジ貯留槽、洗浄排水回収槽、上澄水貯留槽 |
※実施設計において、着水井、スラッジ貯留槽、洗浄排水回収槽、上澄水貯留槽の土木施設の4施設は、耐震性ありと判定され対象施設から外れました。
イ 実施状況
耐震補強工事の内容は、建築施設については、耐震壁や鉄骨ブレースの設置による補強を行いました。土木施設については、壁や底版の鉄筋コンクリートによる増厚補強やステンレス鋼板による補強、地盤置換工(発泡スチロール)による補強等を行いました。
年度 |
事業内容(当該年度に完了した施設) |
事業費(決算) |
平成19 |
管理本館、薬品注入設備棟 |
48,132千円 |
平成20 |
1系急速ろ過池(管廊部、No.1・No.2号池) |
271,500千円 |
平成21
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2系浄水池、1系急速ろ過池(No.9・No.10号池)・沈殿池(A系列) |
527,979千円 |
※事業費に大佐野ポンプ場、八田ポンプ場、浦の原ポンプ場の耐震補強工事を含む |
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平成22 |
1系浄水池、1系急速ろ過池(No.3・No.4・No.11・No.12号池)・沈殿池(B系列)、1系沈殿池(管廊部) |
707,006千円 |
平成23 |
1系急速ろ過池(No.5・No.6・No.7・No.13・No.14・No.15号池)・沈殿池(C系列)、1系急速ろ過池・沈殿池(外壁)、2系急速ろ過池・沈殿池(外壁) |
437,150千円 |
平成24 |
1系急速ろ過池(No.8・No.16号池)・沈殿池(D系列)、濃縮槽 |
147,561千円 |
平成25 |
排泥池 |
56,222千円 |
3 管路の耐震化
(1)大容量送水管整備事業
ア 目的
震災時においても福岡都市圏のライフラインを確保するため、送水施設の基幹施設である牛頸浄水場から下原配水場までの下原系送水管のうち、警固断層帯南東部を横断・近接する区間を優先することとし、併せて地震等災害時の緊急時における給水活動拠点(春日公園等)への貯留機能を持った耐震管路を整備しています。
イ 事業計画
工 期 |
平成23年度~31年度(9年間) |
総事業費 |
56億円 |
国庫補助 |
補助率1/3(ライフライン機能強化等事業、緊急時給水拠点確保等事業、大容量送水管) |
事業内容 |
・送水管 口径Φ1,650~1,200mm、延長約10.5km、貯留量 13,000㎥ |
ウ 実施状況
年度 |
事業費(決算) |
事業内容 |
平成23 |
35,215千円 |
委託 |
平成24 |
195,712千円 |
委託、工事等 |
平成25 |
899,929千円 |
委託、工事等 |
平成26 |
1,682,981千円 |
委託、工事等 |
エ 警固断層の大きな横ずれへの対応
平成19(2007)年3月に公表された地震調査研究推進本部地震調査委員会の「警固断層帯の評価」によると、警固断層帯南東部では断層近傍において約2mの横ずれが生じる可能性があるとされており、離脱防止機能を有した耐震管の管路であっても機能を失うと推定されます。このため、想定される断層位置の前後100mずつの区間(県道那珂川大野城線 春日4丁目~春日公園6丁目)の管路を、耐震型(S形)ダクタイル鋳鉄管の切管と継ぎ輪を組み合わせた配管により継手の伸縮量や許容曲げ角度を確保し、その横ずれに対応できるように工夫をしており、平成26年度に整備を完了しております。
警固断層推定ライン
(2)老朽管更新事業
ア 目的
平成22(2010)年度に志免町地内で発生した下原系送水管の漏水事故箇所付近の管体調査を行った結果、この付近の管路は老朽化が進んでいることから、緊急的に更新工事として事故箇所を迂回するバイパス管を新設整備しました。
イ 事業計画
工 期 |
平成23年度~25年度(3年間) |
総事業費 |
9億4千万円 |
国庫補助 |
補助率1/4 (ライフライン機能強化等事業) |
事業内容 |
口径Φ800~700mm、延長約2.6km |
ウ 実施状況
年度 |
事業費(決算) |
事業内容 |
平成22 |
5,880千円 |
基本計画 |
平成23 |
17,745千円 |
委託 |
平成24 |
167,634千円 |
委託、工事等 |
平成25 |
612,965千円 |
工事等 |
平成26 |
320,046千円 |
工事 |
(3)管路整備事業(第Ⅰ期)
ア 目的
平成23年度から実施していた大容量送水管整備事業を取り込んで、バックアップ機能強化を図りながら管路の更新・耐震化を効率的、効果的に推進し、将来にわたって安全で良質な水道用水を確保することを目的として平成26年2月に「管路整備計画」を策定しました。整備計画では、管路の更新・耐震化を兼ねたバックアップ機能を強化するため、警固断層を横断、並走する管路の大容量送水管整備、管路を二重化する下原系・夫婦石系幹線管路整備、緊急時用連絡管の整備を第Ⅰ期とし、整備期間を平成27年度から平成38(令和8)年度としました。
イ 事業計画
管路整備計画(第Ⅰ期)に基づき整備する管路のルート、口径、工法の決定や事業費の算出、管体調査等による優先順位を踏まえた年次計画を盛り込んだ「管路整備実施計画」を平成27年度に策定し、同年度に「管路整備事業」を開始しました。
事業区間 |
・警固断層対策(牛頸浄水場~大野城市役所) |
延長 8.0km |
・下原系幹線管路整備(大野城市役所~上月隈中央公園) |
延長 4.9km |
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・下原系幹線管路整備(上月隈中央公園~福岡市東区土井) |
延長 12.5km |
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・夫婦石系幹線管路整備(大野城市牛頸~那珂川市片縄) |
延長 7.1km |
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・緊急時用連絡管(西月隈) |
延長 0.1km |
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計 |
延長 32.6km |
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事業期間 |
平成27年度~平成38(令和8)年度(12年間) |
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総事業費 |
192億円 |
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国庫補助 |
補助率1/3(ライフライン機能強化等事業、緊急時給水拠点確保等事業) |
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事業内容 |
口径Φ1,650~800mm |
ウ 事業計画の見直し
地下埋設物や交通規制、施工時間等の施工条件の見直しにより開削工法を非開削工法に変更するとともに、労務費や材料費等の物価上昇により総事業費を約192億円から約295億円に増額しました。また、粕屋地区において当初計画の整備ルート上に国指定史跡(阿恵官衙遺跡)が発見され整備ルートの見直しを行ったことから、事業期間を令和8(2026)年度完了から令和9年度完了に延伸しました。
これらの事業計画の見直しは、第14次財政収支計画(令和5~8年度)の策定に合わせて令和4年度に行いました。
当初 |
変更 |
総整備延長 32.6km |
総整備延長 32.2km |
・警固断層対策 延長 8.0km |
・警固断層対策 延長 7.5km |
・下原系幹線管路整備 延長17.4km |
・下原系幹線管路整備 延長17.6km |
・夫婦石系幹線管路整備 延長 7.1km |
・夫婦石系幹線管路整備 延長 7.4km |
・緊急時用連絡管(西月隈) 延長 0.1km |
・緊急時用連絡管(西月隈) 延長 0.1km |
総事業費 約192億円 |
総事業費 約295億円 |
事業期間 |
事業期間 |
エ 事業実績
年度 |
事業費(決算) |
事業内容 |
平成27 |
1,397,170千円 |
実施計画、委託、工事 |
平成28 |
1,084,647千円 |
委託、工事 |
平成29 |
1,356,605千円 |
事業評価、委託、工事 |
平成30 |
1,736,123千円 |
委託、工事 |
令和元 |
1,409,528千円 |
委託、工事 |
令和2 |
1,449,612千円 |
委託、工事 |
令和3 |
1,455,485千円 |
委託、工事 |
令和4 |
1,865,525千円 |
委託、工事 |
※事業費は税抜額
管路整備事業