1 策定の目的
福岡地区水道企業団(以下「企業団」という。)では、将来にわたって安定的な経営のもと、安全で良質な水道用水を安定的に供給していくために、目指すべき将来像とその実現のための基本的な考え方を示す『福岡地区水道企業団地域水道ビジョン[平成 20(2008)~34(2022)年度](以下「旧ビジョン」という。)』を平成20年3月に策定しました。
策定から10 年が経過し、大山ダムの完成や五ケ山ダムが供用間近となるなど、企業団を取り巻く環境が大きく変化する段階を迎えていました。
厚生労働省においても、人口減少社会の到来や東日本大震災の経験を踏まえて、来るべき時代に求められる課題に挑戦するため、50 年後、100 年後の将来を見据えた「新水道ビジョン」を平成25年3月に公表しました。
また、総務省も平成26年8月に各水道事業体をはじめとした公営企業に、計画期間10 年以上の「経営戦略」の策定を求め、今後の投資と財源の均衡を図った安定的な事業運営を促していました。
この様な状況を踏まえ、企業団においても、将来にわたって安全で良質な水道用水を安定的に供給するとともに、それらを支える安定経営を持続していくため、新たな「福岡地区水道企業団水道ビジョン 2018」(以下「本ビジョン」という。)を平成30年1月に策定しました。
2 水道の理想像
3 位置づけ
本ビジョンは、企業団が概ね 20 年間で取り組むべき方策、事項を示す経営方針です。
また、本ビジョンを実現するための実施計画として、事業計画及び事業費を見込んだ「長期財政収支見通し」及び中期の「財政収支計画」を策定しました。
福岡地区水道企業団水道ビジョン2018の位置づけ
4 施策目標と実現方策
【基本理念】
福岡都市圏の安心で快適な住民生活と持続的な発展を支える水道
①持続
【目標】50年後・100年後も持続可能な水道システムの構築
①-1 運営基盤
(1)施設
【施策目標】
施設の健全性の確保、安定性・経済性等の向上
環境負荷軽減対策の推進
【実現方策】
① 適切な維持管理の実施
② 計画的な施設の更新・改良
③ 環境負荷軽減対策の推進
(2)経営
【施策目標】
健全な財政基盤の維持及びさらなる経営の効率化
将来の投資に備えた効率的な資金確保
【実現方策】
① 将来の資金需要を見据えた中・長期的な経営計画の策定
② 効率的な事業運営の検討
③ 資金需要(事業費)の平準化
④ 給水収益に対する企業債等残高の比率を踏まえた資金確保
(3)人的資源
【施策目標】
安定した運営の確保のための技術力の維持・向上
及び企業団経営に精通した職員の確保
【実現方策】
① 技術の継承に係る企業団独自のマニュアル等の作成
② 定期的な技術研修の実施
③ 人材確保の手法について調査・研究
①-2 水源・安定供給
【施策目標】
利水安全度を考慮した安定供給の継続
【実現方策】
① より効率的な水運用の検討、実施
② 渇水時における対応の検討
③ 小石原川ダム、筑後川水系ダム群連携事業の促進
①-3 信頼関係・連携
【施策目標】
水源地域や水道利用者等との信頼関係の醸成
【実現方策】
① 水源地域とのコミュニケーションの継続
② ICT等を活用した筑後川流域・企業団に関する情報発信の充実
【施策目標】
企業団と構成団体とが課題を共有し、連携して解決
【実現方策】
① 施設の共同化など構成団体との連携強化
② より柔軟な送水方法等の検討
③ 構成団体と水質情報を共有し、浄水処理方法や水質管理等について技術支援
④ 構成団体の人材育成への貢献
② 安全
【目標】環境変化等に適切に対応し安全な水道用水を供給
【施策目標】
環境変化等に適切に対応できる浄水処理・水質管理体制の充実
【実現方策】
① 水安全計画の運用及びPDCAサイクル に基づく継続的な改善
② より安全な浄水処理のための施設の改良・薬品の検討
③ 福岡都市圏の共同検査センターとしての役割を継続
【施策目標】
水源水質の保全活動の推進
【実現方策】
① 水源かん養林の保全活動や河川美化活動への継続参加
② 水源かん養基金事業の取り組み状況等の情報共有
③ 強靭
【目標】災害等に対して強靭な施設と組織の構築
【施策目標】
災害等にも対応できる強靭な施設の構築
【実現方策】
① バックアップ機能の強化・管路の耐震化を効率的に整備
② 福岡導水の耐震化・機能強化を水資源機構等と連携して検討
【施策目標】
非常時にも事業を継続できる組織と計画づくり
【実現方策】
① 災害マニュアル等の適宜更新
② 事業継続計画等の策定及び適宜更新
③ 災害等を想定した教育、訓練の実施