1 計画
筑後川水系における水資源開発基本計画に基づいて筑後大堰を建設し、筑後川下流部の塩害の防除、既得かんがい用水の取水の安定、水道用水の取水を可能にするものです。
(1)河道の洪水疎通能力の増大と河床の安定を図るとともに、筑後川下流部の塩害の防除及び農業用水の取水の安定を図ります。
(2)水道用水は当企業団、福岡県南広域水道企業団、佐賀東部水道企業の計最大0.35㎥/sの取水を可能とするため、93万㎥の容量を確保します。
(3)上流に建設されるダムによって確保される、当企業団、福岡県南広域水道企業団、佐賀東部水道企業団、鳥栖市の水道用水の取水及び筑後川下流土地改良事業の施行に伴って必要となるかんがい用水の取水は、筑後大堰の湛水区域内で行います。
2 事業経緯
(1)この事業は、昭和49(1974)年7月、筑後川水系における水資源開発基本計画の一部変更で追加されました。昭和50年10月、主務大臣(建設大臣)は事業実施方針について、関係各省、各県との協議に入りましたが、筑後川総合開発事業の要となる施設であり、淡水(アオ)取水を行っている農業の合口取水と、ノリ漁業への影響が問題となり、協議が難航しました。
(2)福岡県、九州地方建設局(現:九州地方整備局)、水資源開発公団(現:独立行政法人水資源機構)は、事業説明会などを行い理解を得るべく努力した結果、昭和53年3月末、一部の組合を除き、工事着手を承諾する方向に進んだため、昭和53年3月下旬に河道整備工事の一環である低水護岸、堰本体工事及びゲート製作すえ付け工事等を発注しました。
(3)低水護岸工事の建設省(現:国土交通省)委託分は昭和53年4月、水資源開発公団(現:独立行政法人水資源機構)施工分は昭和54年3月に着工しました。しかし、堰本体工事については、ノリ養殖を円滑に営むための不特定用水の確保と開発基準流量の調整に時間を要したため、昭和55年12月の着工となりました。
(4)その後、関係各所の協力により、昭和58年5月30日本体工事が完了しました。
3 建設経過
昭和49年7月 |
筑後川水系における水資源開発計画の一部変更(大堰・福導追加) |
昭和49年8月 |
筑後大堰調査所発足 |
昭和52年2月 |
筑後大堰建設所開設 |
昭和52年11月 |
事業実施計画認可 |
昭和53年3月 |
工事開始(低水護岸工事)、筑後大堰本体その他工事発注 |
昭和55年12月 |
筑後大堰本体工事開始 |
昭和58年5月 |
筑後大堰本体工事完了 |
昭和60年3月 |
筑後大堰建設事業完了 |
4 概要
事業主体 |
水資源開発公団(現:独立行政法人水資源機構) |
河川名 |
筑後川水系筑後川 |
位置 |
左岸:福岡県久留米市 安武町大字武島 |
右岸:佐賀県みやき郡 北茂安町大字江口 |
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型式 |
可動堰 |
目的 |
洪水調節 塩害防除 水道用水 |
総延長 |
501.6m |
(可動部) |
(261.6m) |
(固定部) |
(240.0m) |
堰の構造 |
鋼製ローラーゲート |
集水面積 |
2,315㎢ |
湛水面積 |
1.36㎢ |
計画高水位 |
T・P+9.56m |
満水位 |
T・P+3.15m |
総貯水容量 |
5,500,000㎥ |
有効貯水容量 |
930,000㎥ |
(当企業団容量) |
(201,900㎥) |
主務省 |
建設省(現:国土交通省) |
管理開始 |
昭和60年4月 |
当企業団配分水量 |
6,500㎥/日 |
5 事業費
343億円
6 企業団負担金
41億円
7 管理
水資源開発公団(現:独立行政法人水資源機構)が、昭和60年4月から管理を開始