昭和46(1971)年6月、福岡都市圏の4市18町で発足した福岡地区広域水道推進連絡協議会で、筑後川等を水源とする用水供給事業を共同処理するための一部事務組合として企業団を設立し、当面筑後川からの取水を受け入れる体制を整えるべきであるとの結論に達しました。そこで、昭和48年3月に「福岡地区水道企業団設立準備委員会」を発足させ、許認可作業など具体的な企業団設立の準備を始めました。

 同年5月には、福岡県より江川・寺内ダム及び合所ダムの水配分163,100㎥/日を受け、同時に各構成団体別の水配分を内定し、同年6月1日福岡都市圏の4市18町(現:6市7町1企業団1事務組合)を構成団体とする「福岡地区水道企業団」が設立され、用水供給事業を行うことになりました。同年7月には、創設事業の厚生大臣認可を得て事業に着手し、同年度中に牛頸浄水場の用地買収を終了し、昭和49年度から浄水・送水各施設の建設を開始しました。

 

【創設認可】

 筑後川水系の江川・寺内両ダム及び合所ダムの建設によって確保される水道用水(163,100㎥/日)を受けて福岡地区水道用水供給事業を創設するため、準備委員会発足と同時に事務局を設置して、4市11町(宗像、糸島両郡の7町を除く。)を供給対象とする事業経営認可申請書の作成作業に入りました。昭和48(1973)年6月25日、水道法第26条及び第27条の規定に基づいて厚生大臣に事業経営認可の申請を行い、同7月26日、認可を受け創設事業に着手しました。

 なお、福岡地区水道企業団水道用水供給事業の設置等に関する条例については、昭和48年6月の初議会で議決されました。

 

・認可年月日     昭和48年7月26日認可

・主な内容      江川・寺内ダム、合所ダム

・給水対象         15市町(4市11町)

・計画目標年次    昭和54年

・計画給水人口      1,415,000人

・計画一日最大給水量 163,100㎥/日

 

 当初は国の事業に併せ、昭和52年度一部通水の計画でしたが、国の事業が諸般の事情により遅れ、度々の工期延長を余儀なくされ、ようやく昭和58年11月21日に水道用水の供給を開始しました。

 

【第1回拡張事業変更認可】

 福岡都市圏は、筑後川からの導水が実現しても慢性的な水不足の解消の決め手とはならず、将来とも増加が予測される水需要に対して、構成団体は、それぞれ自己水源の開発等の対応を迫られていました。しかし、構成団体の個々の力にも限界があるので、国、県の指導を受けて、水源開発等を広域的に対処するため、当企業団及び構成団体は、昭和56(1981)年1月、福岡県に対し、水道法に基づく広域的水道整備計画の策定を要請しました。同年3月、福岡県は、福岡地域広域的水道整備計画を策定し、この計画に基づいて鳴淵ダムによって開発される水道用水22,000㎥/日を当企業団に配分しました。

 また、昭和48年5月の第1次水配分の際、保留していた水道用水9,200㎥/日(江川・寺内両ダム分7,800㎥/日、合所ダム分1,400㎥/日)を当企業団に配分しました。

 当企業団は、これらの水配分を受けて創設認可の際、供給対象外としていた宗像、糸島両郡7町のうち糸島郡の3町を新たに供給対象に加え、供給水量の見直しを行い、必要な施設の建設等創設事業を変更する必要が生じたので、水道法第30条第1項の規定に基づいて昭和56年5月8日、厚生大臣に対し、事業認可の変更申請を行い、同年9月24日、認可を受けました。

 

認可年月日     昭和56年9月24日認可

・主な内容      鳴淵ダム等追加(31,200㎥/日)

・給水対象      15団体(3市11町1企業団)

・計画目標年次    昭和61年

・計画給水人口    1,713,000人

・計画一日最大給水量 194,300㎥/日

 

【第2回拡張事業変更認可】

 昭和59(1984)年10月、福岡県から筑後大堰の建設に伴って確保される都市用水のうち、福岡都市圏の水道用水として6,500㎥/日が配分されたので、これを受けて、計画供給水量194,300㎥/日(江川・寺内両ダム分144,200㎥/日、合所ダム分28,100㎥/日、鳴淵ダム分22,000㎥/日)を200,800㎥/日に変更するため、水道法第30条第1項の規定に基づいて昭和60年2月15日、厚生大臣に事業認可の変更申請を行い、同年3月20日認可を受けました。

 

・認可年月日   昭和60年3月20日認可

・主な内容    筑後大堰追加(6,500㎥/日)

・給水対象    15団体(3市11町1企業団)

・計画目標年次  昭和66年(平成3年)

・計画給水人口  1,859,000人

・計画一日最大給水量 200,800㎥/日

 

【第3回拡張事業変更認可】                              

 昭和63(1988)年に福岡県より那珂川総合開発事業計画による五ケ山ダムの新規開発水量10,000 ㎥/日、及び「筑後川水系における水資源開発基本計画」による大山ダム新規開発水量の内の41,300㎥/日、併せて51,300 ㎥/日の水配分を受け、計画供給水量200,800 ㎥/日(江川・寺内両ダム分144,200㎥/日、合所ダム分28,100㎥/日、鳴淵ダム分22,000 ㎥/日、筑後大堰分6,500 ㎥/日)を252,100㎥/日に変更するため、水道法第30条第1項の規定に基づき平成4(1992)年3月26日、厚生大臣に事業認可の変更申請を行い、同年3月31日認可を受けました。

 

・認可年月日     平成4年3月31日認可

・主な内容      大山ダム、五ケ山ダム追加(51,300㎥/日)

・給水対象      15団体(3市11町1企業団)

・計画目標年次    平成13年

・計画給水人口    2,068,000人

・計画一日最大給水量 252,100㎥/日

 

【第4回拡張事業変更認可】                                               

 平成9(1997)年10月に、県策定の福岡地域広域的水道整備計画が改定され、海水淡水化施設の事業主体を福岡地区水道企業団、施設規模を50,000㎥/日と位置づけられました。これと大山ダムの利水者確定に伴う追加配分10,700㎥/日を加えること、また、当企業団の構成団体でありながら供給対象外で、将来的に水量不足が想定される宗像地区の1市3町を新たに給水対象に加えるため、水道法第30条第1項の規定に基づき平成11年3月9日、厚生大臣に事業認可の変更申請を行い、同年3月12日認可を受けました。                               

 

・認可年月日      平成11年3月12日認可

・主な内容       海水淡水化施設追加(50,000㎥/日)大山ダム増量(10,700㎥/日)

・給水対象        19団体(7市11町1企業団)

・計画目標年次    平成22年

・計画給水人口     2,370,000人

・計画一日最大給水量  268,100㎥/日(施設能力312,800㎥/日)

 

【第4回拡張事業変更認可第1回変更】

 福岡市と当企業団との共同施設である多々良浄水場においては、粉末活性炭等による処理を行ってきましたが、水源である多々良川水系の水質悪化に伴い、安全で良質な水道用水の供給には、高度浄水処理(オゾン・粒状活性炭方式)を導入する必要が生じたため、水道法第30条第1項の規定に基づき、平成13(2001)年3月19日、厚生労働大臣に事業認可の変更申請を行い、同年3月30日認可を受けました。

 

・事業認可    平成13年3月30日認可

・主な内容    多々良浄水場高度浄水処理施設

・給水対象      変更なし

・計画目標年次    変更なし

・計画給水人口    変更なし

・計画一日最大給水量 変更なし

 

【第4回拡張事業変更認可第2回変更】

 五ケ山ダムの取水地点については、那珂川の日佐地点に取水場を設けて、牛頸浄水場へ導水するよう計画をしていましたが、予定地点の土地利用状況等により見直しが必要となり、同じ那珂川で福岡市が有する番托取水場で取水を行うとともに、導水先を福岡市の乙金浄水場に変更することとなったため、水道法第30条第1項の規定に基づき、平成24(2012)年3月8日、福岡県知事に事業認可の変更申請を行い、平成25年3月25日認可を受けました。

  

・認可年月日    平成25年3月25日認可

・主な内容     五ケ山ダム取水地点及び浄水方法の変更

・給水対象      14団体(6市6町1企業団1事務組合)

・計画目標年次   平成32年

・計画給水人口    2,469,000人

・計画一日最大給水量 変更なし

 

 施設能力は、平成25年度から供用を開始した大山ダムの52,000㎥/日を含め、302,800㎥/日となり、令和2(2020)年度に供用開始した五ケ山ダムを含め、312,800㎥/日となりました。

 なお、供給水量については、大山ダムの供用開始にあわせて、平成25年度から利水安全度を考慮した安定供給水量に変更しています。    

 

 

【第4回拡張事業変更認可第3回変更】

 海水淡水化施設については、浸透取水した海水をUF膜処理して浄水していましたが、UF膜処理を省略した場合でも水質の確保等が確認できたことから、UF膜処理を省略する浄水方法に変更するため、水道法第30条第1項の規定に基づき、令和4(2022)年2月16日、福岡県知事に事業認可の変更申請を行い、令和4年3月2日認可を受けました。

 

・認可年月日    令和4年3月2日認可

・主な内容     海水淡水化施設浄水方法の変更

・給水対象      変更なし

・計画目標年次    令和12年

・計画給水人口    2,569,000人

・計画一日最大給水量 変更なし

 

 当企業団の水源開発は五ケ山ダムの供用開始で完了となりましたが、筑後川については不特定用水を確保し、流況の安定化を行うことが重要な課題として残っており、筑後川水系ダム群連携事業の早期建設着手について流域関係者と一緒に国・県等へ働きかけています。